こんにちは。Hideです。売買不動産歴20年以上 大手不動産会社15年勤務後、関西で不動産会社の代表取締役 現在は賃貸物件のオーナー、投資家、ブログ記事も7年近く書いています。
今回は、不動産を購入する前に私自身が必ず行っている、「価格相場検証方法」をいくつか紹介したいと思います。慣れてくればこれほど「有効なツール」はないと感じる事が出来ると思います。
なぜ、「路線価格や地価公示等を押さえておかなければいけないのか」についてお話しします。
僕に理解できるかなぁ。わかりやすくお願いします。
この記事の内容 | レベル |
---|---|
知っ得度 | ★★★☆☆ |
重要性 | ★★★★☆ |
専門性 | ★★☆☆☆ |
国内にある不動産相場が、家に居ながらにしておおよそ検討をつけることができるから。
不動産の価格相場を検証する方法は数多くありますが、残念ながらどれも100%正解というものではありません。個人的には下の6つは最低限検証します。今回は路線価格と地価公示に絞ってお話いたします。
- 路線価格による価格検証
- 地価公示による価格検証
- 基準地価による価格検証
- 固定資産評価額による価格検証
- 成約事例による価格検証
- 付加価値による個別検証
コンテンツ
そもそも「路線価格って何?」ってなりますよね。
路線価格とは、国税庁が土地の価格を算出するために、土地が接している道路ごとに決定して「毎年1回」発表しているものです。
なぜ価格を決定するのかというと、相続税や固定資産税等の土地に係わる税額を算出するためです。
購入を検討できそうな不動産(今回は、大阪府豊中市新千里西町2丁目 敷地面積が100㎡の土地だったと仮定)にようやく巡り会えたら、不動産の所在地がわかる地図を用意してパソコンの検索で「路線価」と入力します。
すると「路線価-国税庁」のサイトから「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」を開きます。(詳細はこちら)会員登録制や有料サイトではありませんのでご安心くださいね。
次に、不動産所在地の「都道府県」を選択してクリックします。
続いて、「豊中市」をクリックします。
次は多少面倒ですが、該当する場所が出てくるまで探してクリックします。
検討している土地が記載されている部分が出てきたら、印刷します。そして図面をよく見て「公21」や「公22」、また「基2」と記載されたPointがあればチェックしておきます。同じ町名内にあればラッキーですね。後程説明します。
確認するのは、検討している土地と接している道路に「数字」が記載されていますので、その数字を読むことです(245Dとか185Dとか)。また、地域によっては記載がない場合もあります。
ではこの表をどのように利用するかというと、検討している土地に接している数字が「190D」だったとします。
190Dは、「この道路に接している土地の1㎡あたりの価格が190,000円ですよ」と言うことです。
(アルファベットは借地権割合と言って、今回の買取り時では使いませんので無視しています。)
よって下記の計算式のあてはめます。
100㎡×190,000円×補正率(今回は該当なし)=19,000,000円
※補正率は、崖地や不整形地あるいは面積が大きすぎると発生します。
今回はなんとなくわかったぞ!よし、これで価格相場を理解できたのでレベルUPできた!
やったー!価格相場がわかったぞー!ではありません。この目安だけで交渉に行けば、自分が得するのか損するのかがまだわかりませんよ。
あなたが相続税を徴収する側になったと仮定して、亡くなった方の相続人のところへ出向いて、「亡くなった方の相続税額を計算してきました。お支払いください」って言いにくいじゃないですか?いくら法律で決まっているからってねぇ。
一般的に路線価格は、「他の評価(相場)指標より低い」とされています。評価額が低いと言うことは、相続税の税率を掛けて出す相続税額も低くなります。
ってことは、路線価格で購入出来たら「お買い得」って思ったりしますが、そうでもないのが不動産ですね。
私自身、これで昔「大きな損失」を出したことがあります。
先程の路線価図面をよく見てください。よーく見てくださいね。わかりますか?
そうです。路線価格は全て100㎡の土地ですが、「角地」や「南向き」、「両面道路」や「不整形地」などの特殊要件は全く考慮されず、一律185,000円とされます。
そんな馬鹿な、ですが事実です。案外当てにならないのが路線価格だと言うことが、お分かりいただけましたか?
先程の路線価格の検証で、「公21」や「公22」、また「基2」の文字にチェックを入れていたのを思い出してください。次のステップではこちらを使います。
また、初めて聞くような言葉が出てきたぞ?「地価公示」って読んで字の如く、土地の価格を公に示す・・・?
こんどは「地価公示って何?」ってなりますよね。
地価公示は全国にある決まった地点の「標準地」について、毎年1月1日時点を基準日として、各標準地につき2名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を土地鑑定委員会が判定し、毎年3月下旬に公示する。この公示された価格を公示地価といいます。つまり、結構信ぴょう性の有るものですね。
一般の方が土地取引や資産評価をする際に、「成約価格の客観的な目安」として活用されているものです。次はこの指標を使います。
先程と同様に、不動産の所在地がわかる地図を用意して、パソコンの検索で「地価公示」と入力します。
そして「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」のサイトを選択して、クリックします。(詳細はこちら)こちらも会員登録制や有料サイトではありませんのでご安心くださいね。
こちらの日本地図にある都道府県の中から、探したい場所にカーソルを合わせてクリックします。次の画面でも同様に市区町村をクリックします。
この画面に来たら、赤丸のとおり「チェック」して、地価の左の枠に「1」と入力してから検索をクリックします。
標準地番号が「豊中-21」と「豊中-22」を探して印刷します。今回は「豊中-22」を使って説明しますね。
赤い線で囲まれた項目が、購入検討中の土地と比較して似ているかどうかを確認します。例えば「地積」があまりにもかけ離れた大きさであったり、用途区分が「住居系」と「商業系」で異なっていたりすると、あまり使えない資料になることがあります。極力よく似た項目内容にすることがポイントです。
当然ながら、「すごくよく似ている!」となっても、そのまま資料内に記載の「価格(円/㎡):308,000(円/㎡)」で確定させるわけではありません。
地価公示の標準地は全国で26,000地点(令和2年地価公示で実施)しかありません。
そりゃ1つの標準地に2名ですよ。ものすごく非効率な作業だとおもいますが、重要な仕事なので仕方がないでしょう。よって、ピンポイントでの正確な価格算定の指標としては、弱い場合があるということ。
実際いざ調べてみると、近隣にまったく標準地の指定がなかった、なんてことはよくあります。仮に近くにあっても、「用途地域が違う」とか「土地の面積がかけはなれている」ときは使えなかったりしますね。
年に1度の発表になるため、市場流通性に則さない可能性があること。
このことも頭に入れておくといいかと思います。仮に大きな商業施設の出店・退店の計画が年初に情報として挙がってきても、対応してないですよね。
じゃあ、あまり意味がないのかな。ここは思案のしどころですね。
そこで、今回使用した2つの指標を利用して、より信ぴょう性の高い数値にする計算をします。
まず、路線価図に購入を検討している土地の情報を書き込みます。
次に、検討地の接している道路の路線価格をチェックします。そして「公22」も同様に接している道路の路線価格をチェックします。
最後に「比の計算」を利用して、「もし、購入検討地が地価公示の標準地に採用されていたとしたら」と仮定します。購入検討地を「X」とします。
X:215D=「公22」:245Dとなります。
「公22」は308,000(円/㎡)でしたから、代入します。
∴X≒270,286(円/㎡)となります。
なるほど。二つの指標を利用することで、より精度の高い価格相場を出す事が出来るわけだね。
今回の「その①」で使用した方法は、私だけでなく不動産を扱う人なら誰もが使用していると思います。やっていることは2枚程度の資料をパソコンから出してきて比較するだけですから、簡単です。
かといって、これだけで購入価格を決めるのは非常に危険です。次の記事では「不動産購入前の価格相場検証方法(その②)」をご紹介しますので、こちらも併せて読んで参考にしてくれたら嬉しいです。
無理なくやって今日もHappy!