こんにちは。Hideです。売買不動産歴20年以上 大手不動産会社15年勤務後、関西で不動産会社の代表取締役 現在は賃貸物件のオーナー、投資家、ブログ記事も7年近く書いています。
今回は、「純利益率約12%(約235万円)」を得ることができた事例(分譲マンション)をもとに、私自身が注意している点をいくつか紹介したいと思います。内容は「簡単です」いくらで買取りしていくらで売却するのか。
不動産の買取り金額を算出するのは難しい?私も初めはそうでした。が、何度か試算を繰り返すだけで見えてくるものがあります。
この記事の内容 | レベル |
---|---|
知っ得度 | ★★★★☆ |
重要性 | ★★★★☆ |
専門性 | ★★☆☆☆ |
コンテンツ
不動産の買取り金額を算出するには、下記の内容を事前に把握しておく必要があります。
- 買取り時の必要経費
- 再度売却するときの価格
- 純利益率の目標設定
- 売却時の必要経費
- 販売活動中の経費
- 売却までの利息(金融機関等で借入れがある場合)
- 売却までの維持管理経費(管理費・修繕積立金)
- 売却するためのリフォーム費用
- 収支計算
一見すると、「当たり前」と思う内容ですね。しかし売主側の立場では、1.以外は買取り者側の都合と言えるでしょう。
このように、「住むための物件」を購入するのであれば経費は1.だけになりますが、再販売が目的となるとそのための費用が必要となり、その多くが「原価」であると言うことです。
不動産を売却する相手次第で、価格が大きく変化するのはこのためです。
では、実際の流れを見てみましょう。
中古マンションを、「1,230万円」で購入し、「1,980万円」で売却しました。売却までの必要期間は約6カ月。
不動産仲介業者から物件の紹介(媒介)を受けて買取りする場合です。
物件価格が税抜き400万円を超える場合は、下記公式に当てはめて計算します。
(取引物件価格「税抜」×3%+6万円)×1.10「消費税」
∴(1,230万円×3%+6万円)×1.10=471,900円
個人間売買や業者(法人)等が直接売主様から買取りする場合は不要となります。また、不動産仲介会社が受け取る仲介手数料には、宅地建物取引業法により定められた上限額があることを知っておきましょう。
不動産を買取りするとこれらの税金の支払い義務が発生します。残念ながらこれだけは避けて通れません。ここは素直に納税しましょう。
今回の納税額総額=394,877円(司法書士報酬含む)
各々納税時期や納税方法が異なり、時限的に税率が緩和されたりもします。
買取りする不動産の評価額に税率を掛けて算出する税金や、不動産の売買金額によって税金が決まったりします。
金融機関って聞くと、「なんかハードル高そうだなぁ」って思われるかもしれませんが、「実は逆です」金融機関は金利商売です。お客様になるわけですから気軽に相談しましょう。
金融機関等で、借入れて不動産の買取りをしました。また、リフォーム資金も物件への融資と同じ金利で借りました。その際に、事務手数料、保証料、印紙税などが発生します。あと、大切な火災保険へも加入しました。
事務手数料等の支払総額=67,400円
抵当権設定費用=77,200円(司法書士報酬含む)
金融機関によっては、リフォームローンの有無や、金利は異なります。個別に金融機関で相談してみましょう。
買取りする物件をリフォーム後に再度販売するときの、価格を決めます。
「いや、それがわかれば苦労しないよっ」て聞こえてきました。
ですよね。同じものは2つとして存在しない不動産。だからこそ面白い。ここさえ押さえれば何にも怖くない。不動産の成約予想価格の算出方法「この物件って実際いくらなの?(マンション編)」はこちらから。
今回は、「2,000万円で売却できる」と決断して購入しました。結果的には20万円の値引き交渉になり1980万円での成約でした。
販売価格の決定はとても重要です。周辺相場と照らし合わせて、よく検討すべきところです。実は以前、設定に失敗して、1年間売れ残り、その間の利息と維持管理費が水泡に帰しました。
次に、純利益率の目標設定をします。後から変更は可能ですが、今後の取り組みに勢いがつきます。
「純利益率」とは、純利益を販売総額で割ったもの。純利益とは営業利益から支払利息を引いたもの。「営業利益」とは粗利益から販売経費を引いたもの。「粗利益」とは販売総額から原価総合計を引いたものです。
将来、売却した際に頂く代金から、売却に掛かった全ての費用を差し引いて残った金銭の割合ことですね。
売却価格を2,000万円とした場合、200万円の純利益が出たのであれば、利益率は10%と言うことです。
今回は目標10%としていました。2,000万円×10%=200万円
この目標設定は、どのような物件でも10%と決めている方や、物件次第で決められる方それぞれです。実際、販売中に価格変更を余儀なくされたり、購入者から価格の交渉が入ったりします。要求を呑む場合は利益が減ると言うことです。
売却するときの諸費用には、一般的に司法書士への手続(登録免許税)委任報酬(都道府県で報酬形態が違う場合があります)と、印紙税、復興特別所得税、住民税、譲渡益や譲渡損失が出た場合の譲渡所得税が挙げられます。
- 司法書士委任支払報酬=約20,000円
- 契約印紙代=10,000円
- 復興特別所得税=12,600円
- 住民税=180,000円
- 所得税=600,000円
- 譲渡益に対して(復興特別所得税0.63%+住民税9%+所得税30%)
- 不動産の売却によって利益が出た場合に課税されるのが譲渡所得税です。不動産の所有期間が5年を境目として短期譲渡所得と長期譲渡所得に区別されており、税率が変化します。また、譲渡所得がマイナスになる場合は課税されません。
- 復興特別所得税とは東日本大震災復興のための財源であり、所得税に対して課税されます。譲渡益が発生した場合は、例外なく復興特別税の課税対象となります。
- 住民税は売却による利益が出た場合のみ課税対象となります。
販売経費には、企画費用(オープンハウス等)や、折込ちらし等の広告宣伝費、現地にモデル家具のレンタル設置費用などが挙げられます。
販売活動はすべて仲介会社にお任せしました。よって仲介手数料として1,980万円×3%+6万円+消費税=719,400円が発生します。
- 費用対効果を念頭に予算割を考えます。宣伝はたくさん行いたいのですが、経費倒れになったり、効果が少ない場合も考えられます。
- 「注意すべき」は、今回のように仲介業者にお願いすると仲介手数料がかかります。
仲介手数料がかかるケースとしては、自身で買主様を見つけられず、不動産仲介業者に依頼する場合ですね。なかなか一人で見つけ出すのは困難かも・・・。
金融機関から融資を受けて買取り資金を捻出した場合、当然利息が発生します。
金融機関によって利率はバラバラ。借入期間が短かければ支払う利息も少なくて済むので早期決着が望ましい。
(12,300,000円+2,200,000円)×3.5%(年利)×6ヵ月/12ヵ月=253,750円
あまり利息を気にしすぎると、健康的にも精神的にもよくありません。金融機関との付き合いが多くなれば、次回からの金利優遇につながる可能性はあります。
維持管理する経費には、管理費や修繕積立金、場合によっては自治会費や町会費、駐車場利用料や防犯カメラの積立金など様々です。
今回のマンションでは23,580円/月×6ヵ月=141,480円
維持管理費は、マンションによって項目が増える場合があります。他に必要となる経費がないか確認しておくことが大切です。
今回は、一般的な「管理費」と「修繕積立金」だけでした。
リフォーム費用の算出においては、ネット上で専門業者を調べるのも一つの手だとは思いますが、あまりお勧めではありません。
私は失敗して、見ず知らずの業者に問い合わせて痛い目を見た経験があります。
- 工期が曖昧
- 専門用語で話してくる
- 追加工事費用を要求してくる
- 対応が遅い
リフォーム費用=2,200,000円
できれば、何らかの繋がり(今回の不動産買取りが仲介業者からの紹介だった場合、その担当者に相談してみる)や(仲の良い知人や友人などにリフォーム業者がいないか調べる)方が良いと思います。
今回は、壁紙前面クロス張替、フローリング張替、畳交換、洗浄機能付きトイレ、システムキッチン、給湯器交換、ハウスクリーニングなど、リフォームしました。
それでは計算してみましょう。
19,800,000円-12,300,000円-471,900円-394,877円-144,600円-822,600円-719,400円-253,750円-141,480円-2,200,000円=2,351,393円
今回は純利益率約12%(約235万円)を得ることができました。購入前の調査がすべてだと思いますが、いつもこうなるとは限りません。
注意していても、マイナスになる事があります。「これなら大丈夫」は危険ですし、そこまで自信が持てない物件なら、次を探されるべきだと思います。
無理なくやって今日もHappy!