不動産購入で失敗。だから「付帯設備表」のチェックは怠るな

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こんにちは。Hideです。売買不動産歴21年以上 大手不動産会社15年勤務後、関西で不動産会社の代表取締役 現在は賃貸物件のオーナー、投資家、ブログ記事も8年近く書いています。

今回は、不動産購入時に手渡される「付帯設備表」について紹介したいと思います。個人的な見解ですので参考にしていただけたらと思います。

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付帯設備表に記載された内容が「いつの時点で誰が確認して記載したのか」それが一目ではわからないからです。

付帯設備表とは一体どんなものなのか

不動産の売買契約では、売買対象となる物件の設備に関する状況等がどのような状態であるか、また、どのような状態で買主に引渡すかを明確にしておくための書類です。

これは後々「言った・言ってない」や「聞いていた・聞いてない」を未然に防ぐための大変重要な資料でもあります。案内中や契約までの間に売主買主間で無意識に話した内容がトラブルの原因になったりもします。

本来であれば、仲介業者が売却活動を始めるにあたり、真っ先に売主と書面(付帯設備表)にてあらかじめ取り決めておけば誤解を招くといった事態も回避できるはずです。

後々内容に変更が生じたとしても売主買主双方に訂正・加筆など修正を伝えておけば未然にトラブルは避けられるでしょう。しかし実務ベースでは契約直前で取り交わしているケースがまだまだ散見されます。

引用書式:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会
引用書式:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会

実際に使用されている書面(ほかには区分所有建物があります)はこんなフォーマットになっています。各不動産会社によって多少の違いはあるかもしれませんが、内容についてはほぼ同じものだと思います。

また万一、売主が設備の故障や不具合等を知りながら買主様に告知しなかった場合には、仮に売買契約書において売主が故障や不具合等の責任を負わないとする取決めをしていたとしても、修繕や損害賠償などの法的責任を問われることがありますのでご注意ください。

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契約後や引き渡し後のトラブルでは、付帯設備に係るものが一番多いのではないかと思います。

すこしづつ中身について触れていきたいと思います。

主要設備

一枚目の「主要設備」では引っ越してすぐ生活に直結する重要度の高い「給湯」・「水回り」・「空調」の3大設備です。引っ越し後すぐに使用するものですから、不具合があればすぐに気づく可能性が高いですね。

確認する際には必ず「付帯設備表」を横においてから「設置個所」や「設備の有無」・「判明している故障・不具合の具体的な内容」を指先確認するくらいでちょうどいいかと思います。

引っ越しが少し先になるようであれば、物件引渡し日に鍵をもらうわけですから、その日中に合わせて水道・ガス・電気の開栓手続きを行って一度使用されることが賢明です。

そのほかの設備

2枚目の「そのほかの設備」には「照明関係」・「収納関係」・「建具関係」・「テレビ視聴」・「その他」が挙げられています。

もちろんどの設備にも問題があってはいけませんので、同時に確認してみることが大切です。

誰がいつ記入したのか

付帯設備表に記載された項目を一つ一つ目を通して、チェックしていくのは原則「売主」になります。買主も当然そのつもりで説明を聞くことになります。

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しかし、ここが今回の注意点なんですね!実務上では仲介会社の担当者と売主と同行して、設備の一つ一つを目で確認して記入を行うのですが、中には売主に電話で確認して担当者がチェックしたり、悪質なケースでは「売主に連絡もなしに担当者が勝手に書いている」といったこともあるようです。

一年前だった!

実例を挙げると、購入したマンションの浴室シャワー、選択用水栓のカラン、キチンの配管から同時にじんわり水が漏れてきて補修を依頼したことがありました。

その際に担当者に確認したら「居住中は通常通り使用されていて、水漏れ等の報告は受けてませんでしたが」とのこと。「いやいや、現に目の前で水漏れしてるよね

売り出されてから相当期間経過していた物件であったことは承知していました。その間、空き家になっていたことも承知していました。ですが、付帯設備表には故障不具合「」となっていたので安心していたのです。

そして、担当者に「何時作成されたんですか?この付帯設備表」って確認すると、売り出す前ですから「ちょうど一年前です」ということです。

正直、契約した日付ではなく、付帯設備表に記載した日時の記載欄を増やしてほしいと思いました。一年間空き家になっていて未使用状態なら、不具合が発生してもおかしくないのではないか、担当者にはそれしか伝えることができませんでした。

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まあ、まず一か所でも不具合があると他も気になるのが普通です。あちこち探しまくって「ここも問題あるんじゃないか?」「あそこも見ないと」ってなっちゃいますよね。

仲介業者が記入していた!

ほかの実例も挙げると、担当者が契約中に「売主様、今から各項目を読み上げるので一緒に確認お願いします」とか言い出したわけです。

浴室ですが、追い炊き機能は付いてますか」とか「洗面設備ですが、鏡・シャワー・コンセント・くもり止めは付いてますか?」とか「網戸の破れている個所はどこですか」などと目の前でやり取りする始末です。

えっつ?あなた仲介業者ですよね?担当者ですよね?今契約中ですよね。現地で確認してないのですか?」って普通言いたくなりますよね。

現場にいればすぐに確認できることも、「えっ?くもり止めですか?ついていたかしら?」ですよね。しかも、用紙に記入しているのは売主ではなく担当者なのです。記載ミスでもあったら責任とれるのかと思ってしまいます。

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売買契約に漕ぎ着けるのに膨大な時間と労力が既にかかっているはずですよね。にもかかわらず最後の最後に、「不明な点が多いようなので契約はまた後日」となっても仕方ないのではないでしょうか。

動作確認

これはぜひ、売主であっても買主であっても行った方が結局は賢明な選択になると思っています。引き渡し日が決まった時点ですぐに点検してもらえるように、予め段取りされておくのがよいと思います。

電気・ガス・水道・電波受信の専門業者に

まず、ここは西日本ですので電気は「関西電力」、ガスは「大阪ガス」、水道は「水道局」に連絡することをお勧めいたします。ただし、残念ながら直接こちらの会社の従業員様が見に来ることはありませんが、代理店などの関連企業を紹介してくれるはずです。

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正直、代理店や関連会社、二次三次下請け会社は対応がまちまちだったりするので、本社の人が仕切ってくれないかなぁってよく思ったりします。まぁ無理でしょうけど。

交渉は仲介会社にお願いしてみる

もし、直接別のサービス会社に連絡された場合ですが、今回のような点検の機会に営業をかけてくるケースがあります。必要以上の修理やグレードアップは行う意味もなく、そして良かれと思って行ったそれらの行為自体も買主側に説明する必要があります。

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実例ですが、給湯器の動作確認を依頼して点検して頂いたのですが「あ~もう取り換えの時期ですね」「今ならキャンペーン期間中ですのでサービスできますよ」でした。

これ「買主」が聞いたら「じゃあ取り換えてよ」ってなりませんか?

私はプロですので、出入りの業者に確認させたところ「現状問題はありませんし、心配なら基盤を交換すれば大丈夫ですよ」との回答でした。差額は30万円!

付帯設備表は、不具合があるかどうかを確認するために重要な書類です。もし、物件の引渡し後に不具合が発生して売主の責めとなった場合は修理の責任は負いますが、新品に交換しんなければならないとはどこにも記載されていませんよ。

交渉ごとに慣れていらっしゃらない場合は、担当してもらっている仲介会社の担当者にお願いした方がよいと思います。

費用をあらかじめ確認しておく

できるなら、物件を売り出す前に見積もりを出されておいた方が賢明かと思います。不動産の売却に伴う諸費用は高額になることが多いため、販売価格の設定にも影響が出てきます。買主からの値段交渉にも対応できるようにしておかなければなりませんしね。

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専門業者の費用は正直バラバラです。点検だけで済めば作業にかかわる工賃や出張費くらいで済むことが多いので高額とまではなりません。ですが、後から頼むより心理的負担を軽減できます。

不具合個所は事前に解消が賢明

不動産売買は商取引です。けっして博打等ではないので「あちゃぁバレちゃったー」・「ラッキーバレなかったー」では済みません。スムーズに取引を行うことこそ、余計な心労や出費を防ぐことができます。

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一度相手に不信感を募らせたら、修復は困難を極めます。こうなってしまうと高額取引では疑心暗鬼にならざる負えません。

「付帯設備表」に記入する際のアドヴァイスをするとすれば「まあ、これくらいは」とか「たぶん大丈夫じゃね?」は論外です。嫌がられるくらい細かく記載する方がよいです。

例えば「シャワーヘッドの水が出る部分の穴が2つ潰れてている」とか。ここまで書けば、相手に信用されて感度が上がりますよね。

憶測や思い込みは要注意

賃貸物件にお住まいされたことがあれば、多少の違いに違和感を覚えるかもしれません。最近の賃貸物件では「家具付き」・「電化製品付き」などといったサービスが主流になってきています。

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あのダイニングテーブルがサイズもぴったりで、とても素敵だったのに展示品だったの?」とかおっしゃられる方も少ないながらもいらっしゃったりしました。

しかしながら、えっ!?と驚くようなことも幾つかあったのでご紹介します。

大理石でできたトイレ

超が付くほどの豪邸の売却に関わった時の事でした。木造二階建てのお家の中に、男性用トイレと女性用トイレが3か所ありまして、ストール型といわゆる座るタイプの便器がいくつかありました。

通常は、床に固定されているものであれば引渡し時の「付帯設備表」に「」と記載されていることが一般的なのですが、なんとすべて「」にチェックがされているんですね。

驚きましたが、売主に確認したところ建築当時のものではなく、居住中に海外旅行先のホテルで使用されていたトイレが気に入って同じものを取り寄せた、思い出深い商品でした。材質は大理石でできているとのことでした。

購入者には事前に伝えていたので問題はないのですが、ちょっと次元の違う話に思えて驚いたのを覚えています。

表札

これはあるあるの事例です。コンクリート製の門構えに埋め込まれた石造りの「表札」です。これは厄介です。取り外そうにもコンクリート用ボンドで固定されていることが多く、きれいに剝がすことはほぼ不可能でした。

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それより、表札はある意味「人の顔」ですよね。ノミでカンカン少しづつ叩いて壊すのは心苦しいというか、売主が見たら気分の良いものではないかもしれません。

しかも、その表札が高価な材質の物だったりすると、かなり大変になってきます。そういったことも

付帯設備表」を事前に作成しておけば対処の仕方もあるはずです。

物干し

これもあるあるな話です。皆さん「物干し」って聞かれて想像するのは何でしょう。洗濯物や布団などを日光に当てるべくベランダに出たらある、そうあれです。

付帯設備表」に物干し「」ってなっていれば、入居後にすぐ洗濯物ができると思っていますよね。ですが、「物干し」と「竿」は別物なんです。竿だけ次の家で使用するので持っていきたいとの申し出があったのでよく覚えています。

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こうしてみると、個人的な判断は危険ですよね。わかっていればなんてことのない事柄でも、一旦思い込んでしまうと、気づけなくなってしまいます。

ですから、恥ずかしがらずに第三者に「これってこうゆうことですよね?」と確認をとる方がよっぽど良いと思います。

残置物

読んで字のごとく、置き残された物です。「付帯設備表」に「」と記載されたもの以外のものが室内に残ってしまうケースがたまにあります。

基本原則

原則として、売主は売却する物件を「購入された時点」の状態に戻して、購入後に買いそろえたものはすべて撤去となります。もちろん買主との話し合いで「置いていく」ものも出てきますが。

HIde
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一般的によくあるのは「トイレットペーパー」や「リースの火災警報器」などです。中には「掃除後のバケツや洗剤、掃除機」といったものもありました。

あー、忘れていったものだな」と勝手な解釈もできないのが不動産取引にはついて回ります。仮に明らかにそう見えたとしてもです。まずは不動産業者の担当者に連絡を入れて、引き取りに来てもらうのがよいかと思います。

勝手に処分できない

残置物は通常の生活ゴミと違い、勝手な判断で処分してしまうと法律で罰せられる場合があります。その物自体の所有権が誰のものかを確認していないからです。

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残置物を居住者や相続人の許可なく処分すると、窃盗や器物損傷罪などに問われ、損害賠償を請求されることがあります。

売主と連絡さえつけば、話し合いの上対処のしようはありますが、問題は連絡がつかない場合です。こうなるとどれほど残置物が邪魔になっても勝手に処分できない状況が続き、心労は増えるばかりです。

また、残置物を合法的に処分するためには、弁護士へ依頼して裁判所に訴訟を訴え、強制的に処分を執行する許可を得なければいけません。

そうなる前に、物件引渡し前に状況確認を行って、面倒になる前に残置物の確認をしておきましょう。

修復義務について

ここまで注意しても、起こるときは起こってしまうのが世の常です。物件の引渡し直前に、再度目視で確認して、専門業者に動作確認まで行ってもらってもなお、物件引渡しまでの数日間で何かが変わってしまうものです。

下記に引用した文言が入った「付帯設備表」などがあります。この文言は一見、売主に不利に映るかもしれませんが、期日を切ることで責任の期間が明確になり、かつスムーズな取引につながると思います。

まして、故意に不実を伝えようとしているわけでもなく、目視による点検や専門業者のチェックを経ているのですから売主様の将来不安も軽減され晴れやかな気分になると思います。

売主様は、買主様に「主要設備」のうち、「故障・不具合」欄に「無」とした「主要設備」にかぎり、使用可能な状態で引渡すとともに、引渡完了日から7日以内に、買主様から請求を受けた故障・不具合にかぎり修復義務を負います。例えば、引渡完了日が金曜日の場合、翌日の土曜日から起算して7日目(翌週の金曜日)までに請求を受けた場合、売主様が買主様に対し、主要設備の修復義務を負います。

社団法人不動産流通経営協会(FRK)

まとめ

不動産の取引には、この他にも相当量の書類が取り交わされます。中でも「売買契約書」や「重要事項説明書」に関しては専門用語のオンパレードとなっていてい素人には到底すべて理解できている人は少ないのではないかと思います。

そんな中で取り交わされる「付帯設備表」は、比較的解り易いからこそ軽んじられる傾向にあるのではないかと思います。

  • 付帯設備表」について一項目づつ指先で押さえながら中身をしっかり把握しておく
  • 付帯設備表」は原則、売主自らが内容を記入して署名押印したのかを確認する
  • 付帯設備表」はどの段階で何時記載されたものかを確認する
  • 設備の有無の欄に「」の設備は、引渡し前に動作確認を行ってもらえるようお願いする
  • 当然「付いている」や「撤去する」などの思い込みは避ける

無理なくやって、今日もHappy!

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