こんにちは。Hideです。売買不動産歴21年以上 大手不動産会社15年勤務後、関西で不動産会社の代表取締役 現在は賃貸物件のオーナー、投資家、ブログ記事も8年近く書いています。
今回は「投資用不動産を検討するために必ず見るべき資料」について紹介したいと思います。個人的な見解ですので参考にしていただけたらと思います。
この記事の内容 | レベル |
---|---|
知っ得度 | ★★★★☆ |
重要度 | ★★★★☆ |
専門性 | ★★☆☆☆ |
資料が無いなら「買わない」が絶対条件。最低条件の資料に目を通さない人は「損」が手に入ります。
そもそも、投資用不動産を一度でも購入された方なら「必要資料」についての知識があるかと思いますが、「初めての購入」の場合、一体どんな資料があるのかすら知識不足になっていると思います。
紹介先が不動産会社なら担当者が提出してくれる資料をもって「これが全てだと勝手に思い込む」ことにも繋がりかねません。では一体どんな関係資料が必要なのかについてご紹介します。
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簡易なものであればこんな感じでしょうか。毎月の収入と支出が一目でわかる表のことです。一通りの資料を入手することがでれば、自分でレントロール表を作成しましょう。最新の情報になっているとは限らないからです。
詳細なものであれば、このほかの項目に「賃借人名」・「契約期間」・「部屋の大きさ/タイプ」・「敷金/礼金」・「滞納履歴」・「空室履歴」等が列記されているものがあります。
実際のものを手に取ると、数字や文字が埋まっているので、より具体的に判断が出来ます。しかしながら「空室がある」とか「滞納歴がある」レントロールを見た場合、どのように判断するかが大きなポイントになってきます。
「空室はリフォーム済み」かどうか、場合によっては「建物全体の修繕履歴」を教えてもらうことも重要です。
「購入時期が繁忙期前で募集すれば賃借人が見つかりそうか」と考えなければなりません。場合によっては「家賃の見直し」が必要になることもあります。
また、注意すべきは既存の賃借人が「いつから入居しているか」や、他の部屋とを見比べた場合の「家賃に乖離がないか」が挙げられます。
レントロール表は、購入すべき物件かどうかを判断する上で必要な資料であることがわかっていただけると思います。では誰が作成しているのでしょうか。
売主自身であったり、不動産仲介業者であたり、あるいは弁護士や税理士である場合もあります。法人であれば会社の経理担当者かもしれません。いずれにしても記載内容に間違いがないかを確認する必要がありますよね。
賃貸契約書は雛形に統一性がありません。同じマンションやアパートでも契約書を作成した仲介会社等によって差があります。記載されるべき内容がしっかり項目としてあるかを確認することをオススメします。
レントロール表の内容は、不動産の賃貸借契約書中に記載されている内容から転記されて作成していることが多いです。ですから契約するまでの間には必ず原本の確認(難しいようであればコピー)をしなければなりませんね。
そして不動産賃貸借契約書の原本は、実際に購入して取引が行われた時に必ず引き継いでもらわなければなりません。
契約書内に記載されている条件等は必ず確認しましょう。連帯保証人欄への記載の有無と状況確認や、特に「特約事項」等の記載があれば絶対に目を通しておく必要があります。何が書き込まれているかの確認は本当に大切です。
火災保険会社や家賃保証会社との取り扱いも確認が必要です。場合によっては何年も何十年も住み続けて頂けるのですが、これらの更新手続きは毎年更新や2年ごとの更新になっている場合が多いです。
また、自主管理をされるのであれば、更新をお知らせしたり促したりする必要も出てきたりします。
よくあるのですが「賃貸契約書がない」場合もあります。この場合は必ず不動産を引き渡してもらうまでの間に「再作成」を依頼しておきましょう。
最近では「太陽光パネル」による売電や、「自動販売機設置」による収益を計上している場合があります。逆に入居率を上げるために、インターネット回線を導入して「使いたい放題」にして通信関係の支出が多い場合もあります。
水道光熱費や管理費など共益費の負担が誰なのかも確認が必要です。はるか昔からあるような物件の場合、あいまいになっていたりすることがよくあります。この「あいまいさ」を一つずつ潰してゆくと良い結果になったりします。
エレベーターや消防施設に係わる設備点検には、法律で定められたもの「法定点検」から自主点検を行っているものまであります。それらの費用も確認が必要になってきます。
売主が管理会社に管理を依頼していた場合、管理会社の変更ができるか、あるいは引き継ぎか可能かどうか、これまでの「管理内容や料金が妥当か」どうかも検討するべきだと思います。
固定資産台帳に記載されている事項は、固定資産税のほかに都市計画税、不動産の評価額等が記載されています。不動産投資にあたって購入時の「登録免許税」や「不動産取得税」はもとより、年間を通じての納税義務が支出として挙げられます。
敷地の一部を平面駐車場にしている場合などで、土地面積がやたらと大きい場合、固定資産税額が高額となり予想を上回ることだってあります。
また、減価償却費のおおよその金額算出にも役立つため必ず資料を取得し司法書士に見積もりを出してもらうことをオススメします。
概要書には「所在」や「最寄り駅までのき距離」、「土地や建物の大きさ」や「構造や築年数」等が詳細に記載されています。間取りも確認が必要です。
満室の場合は内見することが基本できません。間取りは時代を反映していることが多いのでトレンドに沿った間取りでなければ、退去後に募集を掛けた際になかなか決まらないと言ったケースもしょっちゅう起こってきます。
この「概要書」は一見すると、物件に関する基本的な事項が記載されているだけの書類に見えますが、建築当時の内容に沿って記載されているものが多く(分譲マンションなど)現状と見比べると案外変更されていることもあります。
例えば「1階駐車場」が「店舗」になっていたり、屋上に「倉庫」を増築していたりと様々です。しかしこれらの多くは「違反」に繋がることも多いのです。
「いつの時点で変更されたのか」、「建築基準法上問題がないか」は確認する必要があります。なぜなら融資条件に大きく影響を及ぼすからです。
これらの確認をせずに「不動産仲介業者に一任」なんてやってしまうとどうなるか。多少金利が高くても融資する金融機関を見つけてきて勧めてきます。あるんですよ、探せばそういった金融機関がね。
十数年後にいざ売却をしようとすると金融機関が見つからず「価格を下げなければならなくなる」といったことになるかもしれません。
「等」としたのは、他にも付随するものがあるからです。「公図」・「建物図面」・「地積測量図」と呼ばれる資料についても同じ法務局にて誰でも取得することができます。
ただし建物の登記を行っていない場合や、地積測量図が法務局に備え付けられていない場合は取得することはできません。
「建物図面」から想像することは「増築未登記部分がないかどうか」です。もし増築しているような物件だった場合は建築基準法に違反(建蔽率や容積率)している可能性があることと、未登記部分を第三者に対抗できるように登記が必要になることが挙げられます。
「地積測量図」から想像することは「図面作成年月日が新しいか古いか」と「境界について」です。30年も前の測量技術は正直ずさんです。測り直すと数㎡の増減が発生することがよくあります。事前に計測させてもらうことがオススメです。
実際の取引はこれらの書類に基づいて行われます。融資先の金融機関へも提出が必須です。見るべきポイントはたくさんあるのですが、中でも「所有者」や「抵当権設定の有無」が挙げられます。
「真の所有者かどうか」です。契約書への署名押印の際に必ず確認が必要です。司法書士なども本人確認を行ってくれますが、必ず自分自身でも確認するようにしましょう。
また「抵当権」や「根抵当権」等の設定がある場合は、引き渡しまでに抹消してもらうのですが、実はこの権利設定には、売主が購入した当時「この不動産が幾らだったのか」をある程度想像できる資料でもあります。
年月が経ち過ぎている場合は、現在との整合性はありませんが、仮に「5月に購入した物件を同年8月に売却」すると言った場合(売主が転売目的で購入した不動産業者に多い)売主の利益を逆算できる場合があるからです。
価格交渉の材料になる場合がありますので、よく注意して見てみると良いかもしれませんね。案外「メッチャクチャ利益乗っけてるやん」って思うかもしれません。仕入れが上手く行ったのでしょうね。
建築確認済証は建物建築をおこなおうとする際に役所へ必要書類の提出や確認事項等をする合わせて、違法性がないかどうかを確認してもらい、問題なければ交付して頂ける書類のことです。
建物検査済証は、工事完了後に検査機関によって確認が行われ、合格した物件に対して交付して頂ける書類のことです。
建築工事が完了した建物は、工事完了検査を受けることが義務付けられており、中古物件の場合には、この合格を証明する検査済証が存在するのが望ましいことなのですが、「検査済証がない」という場合も結構あります。
一般的に金融機関は「検査済証がない」不動産へのが融資の可否を判断するにあたり非常に厳しい見解を持っています。
違法性がある不動産への融資をすることは、道義上認めていないからですね。まあ当たり前といえばその通しなのですが。
このように検査済証の有無が購入する側にとって悪影響になってしまうケースがあります。検査済証がない案件を検討する場合、取り組んでくれる金融機関を探したり、融資額の減額がなされた場合に価格交渉が出来るかなどを再検討しておく必要があります。
「えっめっちゃ多いやん」、「そんなに見ないとダメなの?」と思われるのなら投資用の不動産を購入することをお勧めしたくありません。だって「損」してしまうんですよ?
初めは面倒かもしれませんが、「慣れてくれば同じことの繰り返し」です。頑張りましょうよ。きっと「よかった」と思って頂けると信じています。
- 検討する上で必要になる書類は「初めから全て請求」しておくことが肝要です。
- 資料を集めるだけでなく「問題点がないか」や「改善できそうか」を検討っしましょう。
- キャッシュフローを十分に確認して不測の事態にも対応できる「余裕」の有無を確認しましょう。
無理なくやって、今日もHappy!
これから不動産投資を始めようとお考えの方にお勧めの一冊です。