こんにちは。Hideです。売買不動産歴20年以上 大手不動産会社15年勤務後、関西で不動産会社の代表取締役 現在は賃貸物件のオーナー、投資家、ブログ記事も7年近く書いています。
今回は「利益の出る不動産を上手に探す方法(その2)」に続いて、少し特殊な方法を具体的に紹介したいと思います。ただ「知った」だけで活用するのは難しいしいかもです。なぜでしょうか。
この記事の内容 | レベル |
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知っ得度 | ★★★☆☆ |
重要度 | ★★★☆☆ |
専門性 | ★★★★☆ |
コンテンツ
私たち一般の人々の前に情報としてお目にかかることがあまりない不動産取引があります。一定の特殊な事情が発生し、裁判所を通じて間接的に取引される代表的なもで「競売」と呼ばれる取引です。
日本では、「不動産の競売」は一般的に、地方裁判所が行う競売を指します。これは、土地や建物の購入時に借りた住宅ローン返済ができなくなるなど、不動産を担保にした借入金等の債務履行ができなくなった場合に、債権者の申し立てによって、地方裁判所が競売を行う制度です。
競売物件は一般的な相場より安く手に入ることが多いのですが、不動産の法律関係などが複雑なこともあるので注意が必要です。
株式会社リクルート suumo
Web上には株式会社日立社会情報サービスが運営する「不動産競売物件情報サイトBIT」や一般社団法人不動産競売流通協会が運営する「981.jp」等のサイトでは、誰でも競売情報を閲覧することが可能になっています。
入札にはいくつかのルールがあります。「入札期間と受付時間」や「買受申出の保証の提示方法の選択」、「入札書への記載」、「陳述書」の提出などがあります。必要書類は執行官室にて入手できます。
売却基準価格の80%以上の値が付き、その中で最も高い価格で入札できた個人や法人に落札される仕組みです。また、入札時に用意する保証金は「売却基準価格の20%」と決められています。入札する価格の20%ではありません。これが結構高額になるわけですね。
キャンセルはできますが、保証金は没収されてしまいますので十分注意が必要です。落札できたとしても後順位との価格乖離が大きかったりするだけで心身ともに萎えてしまいます。
不動産会社の営業マンの中には、お客様から依頼を受けて競売の代行をするにあたりココに特化している人もいるにはいますが全体的には少数です。
一般的に住宅ローンの返済によるものであれば「第一抵当権者」は銀行等の金融機関になることが多く、大きな権限を持っていることになります。一番初めに情報を入手しているとも予想できます。
「競売」自体は、それはそれで通常の相場価格よりも比較的安めに購入する事が出来るとされていますので、「利益が出る不動産」としての情報収集のツールの一つになりますし、入札に出向いたことも何度かあります。
が、今回の記事では「競売」になる前段階にfocusして、その流れを考察してゆくことで今まで見えなかったものが見えてくるのではないでしょうか。
競売が開始されるまでの期間はどのような流れになっているのか、そこが「今回のポイント」になります。
地方裁判所にその「カギ」があります。競売開始決定後に裁判所が申立債権者(訴えを起こした者)以外にもいるかもしれない債権者に対して「債権」の申し出と配当を要求する事が出来る期限を公告しています。いわゆる「配当要求公告」というものです。誰でも閲覧できるということです。
この配当要求公告には不動産に関する一定の情報が記載されています。所在地や面積など債権者が物件を特定してどこの物件かがわかるようになっています。
この間に、もし「売却情報として資料等が入手できたら」と思ったりしませんか?仮に競売で「売却基準価格」程度でしか落札者が見つからなかった場合、おそらく債権者(銀行ではなく保証会社が一般的)は大きな損失になる事が予想できます。
簡単に説明すると借金3,000万円の支払いが残っている→競売で2,400万円で落札された。600万円の債権が残る。(この時点で債務者の借金が無くなるわけではありません。ローンの組み換えが行われて支払いは続きます)
しかし、のちのち債務者に破産申告されてしまうと600万円程度の焦げ付きとなります。
そしてもし、その不動産情報を入手する事が出来て、前向きに購入を検討したい物件であった場合には債権者(保証会社)と交渉を行える可能性が広がってくるわけです。
注意すべきはその交渉も、一旦裁判所へ「不動産の差し押さえ」申請がなされていると、粛々と手続きが進められてゆきます。ですからスピードが命取りになるわけです。
その間に少しでも高く売却出来るのであれば、裁判所への申請を取り下げてでも通常の手続きによる売却の方が魅力的になる、これがいわゆる「任意売却」というものです。
競売に至るまでの期間は「短くて3ヵ月、長くて6ヵ月」といわれています。(民間金融機関だけでなく、金融公庫でも異なります。)
以前は大手と呼ばれる不動産会社に約15年勤務していました。主要都市に300店舗弱の出店をしている売買仲介専門の会社でした。一つの店舗で年間の取引件数は300件程度あり15年ではおおよそ4,500件の取引があったわけです。
不思議ですよね、系列には銀行もあった会社ですから。入社前からの成約件数まで入れたらすごい数です。ですが「任意売却」案件は一度も降りてきたことはありませんでした。
お客様の誰にも何もなかったのであればそれに越したことはありませんし嬉しい限りです。もちろんお客様から「返済が厳しい」と事情と共に相談を受けて「任意売却」に及んだことは何度かありました。
ですが現実問題として毎月のように裁判所には公告が張り出されているのです。一体どこでどのようなことが起こっているのでしょうか。
餅は餅屋にといったように、不動産は不動産会社が取り仕切っていると思っていたりしてませんでしょうか。まず知っておいて損しないことは不動産取引を行っているのは、なにも不動産会社だけではないということです。
お金の流れから不動産の仕組みを知ることで、弁護士・司法書士・税理士などの士業の方々や、銀行・保険・証券などの金融業等においても宅建業を所得したうえで関与し、取引されていることに気付くことが出来ます。
- 住宅ローンを借りている金融機関へ相談に伺い、そこで具現化する
- 弁護士や司法書士に相談に伺い、そこで具現化する
- 所有者が法人等の場合、顧問税理士に相談して、そこで具現化する
- 保険等を担保に出来ないかなどの相談をして、そこで具現化する
- 購入時の不動産会社に問い合わせを行い、そこで具現化する
これらが一般的な発生方法ではないかと思います。もちろん他にも債権者がいて、その方との話し合いによって具現化する場合もあると思います。いずれにしても発生源が多岐にわたっていると言うことがわかります。
ここまで記事を読んで頂いてありがとうございます。そして「なんか面倒だな」と感じていらっしゃる方も多いかと思います。しかし、タイトルにある様に「利益が出る不動産の情報の欠片」は見えているわけです。
- 今までに金融機関との不動産取引がある場合は、担当者に直接聞いてみる
- 付き合いのできている弁護士や司法書士にも直接伺ってみる
- 付き合いのある不動産会社の担当者に直接思いの丈をぶつけてみる
話を持ってゆくときは、必ず「配当要求公告」の内容をメモしておくことをオススメいたします。そうすることで熱意が伝わり、他の物件を紹介してくれる可能性も広がります。
そして購入にあたり金融機関から融資を受けるのであれば事前におおよその目処はつけておいた方が良いでしょう。任意売却はスピードが必要です。なぜなら裁判所は絶対に待ってはくれませんから。
実際に出来ることはこんな感じでしかありません。ですが諦めたらそこで試合終了です。1年に1回、いやいや5年に1回でも話が来れば最高ではないですか?
仲介業者の営業マンの中には、「どこで、何を、どうすれば」そんなに任意売却情報つかんでんこれるわけ?といったミステリアスな方もいることはいます。聞くのはタダです。時間と労力は多少使いますが・・・。
- 昨今の競売の入札は、価格が平均相場並みに上昇傾向になるので利益が出にくい
- 任意売却は情報元のルート確保が難しいが、保証会社とは相対で話がしやすくまとまりやすい傾向にある
- より良い情報収集は、常にアンテナを張っておかなければスルーされてしまう
無理なくやって、今日もHappy!