こんにちは。Hideです。売買不動産歴20年以上 大手不動産会社15年勤務後、関西で不動産会社の代表取締役 現在は賃貸物件のオーナー、投資家、ブログ記事も7年近く書いています。
今回は、「一般媒介」それとも「専任媒介」どちらの契約がお得?」といったテーマで、僕なりの考え方を紹介したいと思います。参考になれば嬉しいです。
この記事の内容 | レベル |
---|---|
知っ得度 | ★★★☆☆ |
重要度 | ★★★★☆ |
専門性 | ★★★☆☆ |
僕は基本的には「専任媒介」で契約します。ですがそれぞれの「特性」があるので一般媒介の時もあります。
それぞれの「特性」を知っていれば、おのずと「得する方」へ選択肢は決まってきます。
コンテンツ
初めて不動産を売却したときは、「専任媒介」で契約しました。といった声をよく聞きます。何故か、何も知らずに担当者に勧められるからです。どちらが良くてどちらが悪いといった性質のもではありませんが、他人任せは危険だということです。
特に問題を感じることはなかったようでしたし、今でも良かったと思っていらっしゃいます。ですがこれは結果論に過ぎません。たまたま結果が良かっただけのこと。「専任媒介の特性」について少し触れたいと思います。
- 依頼者は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができません。
- 依頼者は、自ら発見した相手方と売買又は交換の契約を締結することができます。
- 当社は、目的物件を国土交通大臣が指定した指定流通機構に登録します。
一方、「一般媒介の特性」はどのようなものかというと。
- 依頼者は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができます。
- 依頼者は、自ら発見した相手方と売買又は交換の契約を締結することができます。
「専属専任媒介」という契約方法もあるので、紹介しておきます。
- 依頼者は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地 建物取引業者に重ねて依頼することができません。
- 依頼者は、自ら発見した相手方と売買又は交換の契約を締結することができません。
- 当社は、目的物件を国土交通大臣が指定した指定流通機構に登録します。
実際に、不動産仲介業者と売却の話が出たときに説明を受けることになりますが、時間にして数分で説明が終わってしまい、具体的な内容について話してくれることはあまりないかもしれません。
少し乱暴な言い方をすれば、専任契約は「婚約」すると思って頂けたら解りやすいのではないでしょうか。婚約中のひとが別の誰かと更に婚約することはないですよね。
婚約するほどの相手ですから信用と信頼の上に基づき、相互の結びつきは固くなります。「あなたのことを大切に思っています」だから「あなただけにお任せします」と特別扱いするといった感じだと思います。
ですが、仲介会社側の一握りの中には「これで成約時の手数料をいただけたも同然」と考えている場合も否めません。だって、自ら購入希望者を見つけなくても世の中には不動産会社は無数に存在して、物件をインターネットに登録するだけで探してきてもらえるシステムが構築されているからです。
あわよくば自社で購入希望者が見つかれば両方から仲介手数料を頂く事が出来るからです。売主様の自由度を縛ってしまう恐れがあると言うことです。スムーズに成約すれば売主様に感謝さえされるのですから。
もちろんメリットもあります。先程の「両方から仲介手数料を頂く」事が出来る以上、同じ作業量で倍の手数料が入るなら頑張らないという選択肢はないですよね。当然、他の物件より注力してくれるといったメリットです。
一方の一般媒介はというと、「当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができます」となっていることから、利害関係のない「友達」付き合いすると思って頂けたらと思います。
何人とでも友達を作って広く付き合う事が出来ます。良くも悪くも「八方美人」に受け取られる場合があります。
ですので、「お付き合いしてくれるかどうかわかんない」という印象を仲介業者に与えてしまうことから、力の入れようは弱くなることもあります。
手数料が見込めない以上、広告宣伝費用を他の物件に回すことも考えられます。逆に「その方が燃える」といったやる気のある担当者も多くいます。
専任媒介で契約するなら、周辺相場より「少しでも高く売りたい」と思っている場合に向いています。
「他の物件より注力してくれるといったメリット」に期待しているからです。いずれにしても仲介手数料は成約報酬ですから、売れなかったら支払い義務は発生しません。「相手の私に対する思いの強さを利用」しましょう。
仲介会社に介入して頂くことなく(仲介手数料を払わなくて済む)、自分たちで取引することが出来ます、という内容です。
たまにあることですが、いざ売却活動がスタートした時点で、お隣さんから「私が買いたい」とか親戚や兄弟、知人や友人が購入希望を申し付けてくる場合があります。この場合どうすればよいかということです。
「個人間売買」や購入先が宅建業者「いわゆるプロ」の場合に、初心者の方は複雑な書類の作成や、それに署名・押印することに極度の心配が発生するため「やっぱり仲介会社さんにお願いしよう」となることが多いかと思います。
それはそれでいい決断かもしれません。ですが、仲介業者側からすると「棚から牡丹餅」状態です。私は正規仲介手数料を支払うのは馬鹿らしいと思ったりします。ですから「こちらの手数料は無しにしてよ」とか「半分まけてよ」って交渉します。
慣れている方なら自分で仕切る事が出来るから強気になれるのですが、少なくとも交渉は必須ではないかと思います。
注意すべきは取引後のトラブルについても自己責任で対応する必要があるため、「面倒なことは御免だなぁ」と思われるのであれば、仲介会社に取り持ってもらう方が良い場合もあります。
販売価格が大きい場合、仲介手数料が高額になるため「交渉がすんなり通る」場合が多いです。また、知人や友人の場合は仲介会社に依頼することにしています。「仲が悪くなったら嫌」ですもんね。
「そんな可能性ないだろう」と思っていらっしゃる方程よく起こったりしますので、予め考えておかれた方が対応がスムーズになると思います。
仲介会社は、広く契約の相手方を探索するため、目的物件につき、所在地、規模、形質、媒介価額その他の事項を、当該目的物件の所在地を含む地域を対象として登録業務を行っている指定流通機構にこの媒介契約の締結の日の翌日から宅地建物取引業法第34条の2第5項及び宅地建物取引業法施行規則第15条の10に定める期間(7日以内)の範囲内で(依頼する仲介業者の休業日を含みません。)に登録します。また、目的物件を登録したときは、遅滞なく、甲に対して宅地建物取引業法第50条の6に定める登録を証する書面を交付します。・・・
宅地建物取引業の免許を取得し、登録が完了している不動産業者のみが閲覧できるサイトを略称で「レインズ」といいます。(現在はこちらのサイト内を一般の方が閲覧することはできません。ただし、媒介契約者にはパスワードが発行されて閲覧できる場所は用意されています)
簡単に言うと、全国の指定流通機構のサイトには「専属専任媒介」・「専任媒介」で契約した物件が全て登録されています。それは義務化されているからです。
しかしながら「一般媒介」契約にはこの文言がありません。登録するかどうかは「任意」とされているからです。
登録したプロの業者間同志で売却不動産の情報を共有し、不動産の流通をスムーズに行う事が出来るようにするためのツールです。
登録期限も定められていますから一早く市場にあなたの売物件情報が流れて購入希望者の手元に情報が渡るといったシステムです。
今ではほとんどいなくなったと思いますが、昔は「登録を忘れていた」、「わざと登録しない」といった事をやっていた会社もあったように記憶しています。
「登録を忘れていた」は論外ですが、「わざと登録しない」には訳がありました。もちろん業法違反です。
「専任媒介」で「わざと登録しない」と聞いて、一体どういうことかわかりますでしょうか。2パターンが考えられます。
- 1.自社で購入希望者が見つかるまで、情報を表に出さない。出せば他社から顧客紹介が入って手数料が半減するから
- 2.販売価格が相場より高い場合、決まらないのに反響だけあると売主様の心理状況が強気になって、決まるものも決まらなくなる可能性が高く、適正価格に引き下げるため「反響ないです」という口実を作るため
ありえませんね。勝手すぎます。自己中心的も甚だしい。怒り心頭です。が実際にあったそうです。それ以来。制度自体も厳しくなり、罰則規定も盛り込まれていますので、これからは安心して任せられると時代だと思いたいです。
一般媒介で契約しても、「レインズ掲載お願いします」といえば掲載してくれます。また、隣近所に知られたくないと言った諸事情がある場合は、「非掲載」を選択することもできます。但し、水面下での情報拡散にはかなり時間が掛かるかと思います。
注意点があります。重要です。「媒介契約書」には必ず「媒介期限」が設けられています。仲介会社によって期限は様々ですが、おおむね3ヵ月程度になっているかと思います。もし期限がない契約書やあまりにも長い期限だった場合は注意が必要です。3ヵ月毎の期限となるよう交渉しましょう。
- 「専任媒介」と「一般媒介」のそれぞれの媒介特性を知っておくことで、選択基準を明確にできる
- 仲介手数料の価格交渉を、状況次第でできるように常に頭の中で考えておくことが賢明
- 媒介契約を締結後は、こまめに「レインズ」をチェックし、媒介期限も確認しておく
無理なくやって、今日もHappy!