教えて!事業性融資(アパートローン等)の貸し渋り傾向は今後いつまで続くの?

こんにちは。Hideです。売買不動産歴20年以上 大手不動産会社15年勤務後、関西で不動産会社の代表取締役 現在は賃貸物件のオーナー、投資家、ブログ記事も7年近く書いています。

今回は、「収益性不動産融資の今後の見通し」といったテーマで、僕なりの考え方を紹介したいと思います。参考になれば嬉しいです。

いざ購入したい不動産を見つけたものの、肝心の融資でつまずくといった状況が長く続いています。場合によっては「購入価格の2~3割を自己資金投入なら」といった条件は当たり前になってきています。

今となっては当たり前ですが、諸費用も自己資金。「お金持ちしか儲けることは出来ないのか」と思っちゃいますよね。

この記事の内容レベル
知っ得度★★★☆☆
重要度★★★☆☆
専門性★★☆☆

2021年においての好景気を背景に、世界経済に大きな変化でも怒らない限り、今後もしばらくは金融機関による引き締め政策は続くものと予想しています。

しかし、2023年4月までの任期となる日本銀行の黒田東彦総裁の後任者によっては金融緩和に歯止めをかける可能性もあり、1つのターニングポイントになるのではないかと考えています。

2019年3月金融庁による発表はこちら

日本銀行による個人投資家等への融資が2016年4月度を境に一気に下降傾向になりました。この背景には相続に関する税法の改定が行われたことがきっかけです

。記憶にない方も「なんか最近たくさんアパートが建築されてるなぁ」なんて思ったことはないでしょうか。

簡単に時代背景

相続税改定

あの時何が起こっていたかというと、2015年1月に行われた相続税の改定です。相続は発生した際に被相続人(亡くなった方)の財産が「基礎控除が5,000万円とその相続人の人数×1,000万円以下」の場合は非課税といったルールでした。

それが、改定後は「基礎控除3,000万円と相続人の人数×600万円以下」となったことで控除が減ったわけです。ようは、「財産を持っていると税金で持っていかれる」といった現象になったわけです。

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えっ?不動産も財産でしょ?現金じゃなくたって同じじゃないの?」と思いますよね。その通りです。不動産も財産ですから相続時には計上されます。が、不動産の評価額は「購入したときの金額とイコールではない」ということがアパートの乱立につながったわけです。

国は税収額を上げようとしたのか、景気対策の一環だったのでしょう。この改定によって今までは相続税の対象外だった人々が、一転してそれまでの倍近くまでの方が課税対象となりました。倍ですよ倍。

何とか節税したい」って思いますよね。そこで登場したのがアパート経営です。この時期を境に一気に融資額が増えたのです。

高速で加熱するアパート経営に、金融庁はとうとう各金融機関にたいして警告(やりすぎるな)を発することになります。金融庁には逆らえない金融機関はこれより融資に関して消極的になり貸し渋るようになってゆきます。

スルガ銀行による不正融資

金融庁の警告もむなしく、大問題が起こりました。「かぼちゃの馬車」って聞いたことないでしょうか。女性用のシェアハウスをメインとする収益アパートの運営を行っていたスマートデイズの経営不振に端を発した問題です。

簡単に説明すると、収益不動産のオーナーを募集するスマートデイズは「ご購入後、万一の空室が発生しても保証を年利8%程度付けるので空室対策は安心ですよ」とうたって購入者を募りました。

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新築で利回り8%ってメチャクチャ良かったのでしょうね。飛びついてきたのは一般のサラリーマンなどの初心者ばかり。しかし通常であれば金融機関の融資が厳しく、なかなか思った融資額を受けることはできないはずです。

ところが、承認されてしまうんですね。スルガ銀行の不正があったのです。しかも約7000件!いつの時代も金融機関が問題を起こすんですね。

最近では「商工中金」・「かんぽ生命」・「第一生命」・「みずほ銀行」などは全て不正融資です。挙げればきりがないと思います。

融資を受けたオーナーの喜びもつかの間、想定外の入居率の悪さにスマートデイズは「保証を打ち切る」と発表。メチャクチャですね。しかし、よく似たことは他でもたくさん起こっていたんですよね。きっと。

最後には裁判となってスルガ銀行が借入金を相殺する形で土地及び建物を取得することで合意し、また、6カ月の業務停止(不動産投資向けの新規融資)と業務改善命令が発令されたんです。

影響のあおり

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いやいや、ちょっとまってよ」です。これらのことが原因となって金融庁も厳しく取り締まるのはよくわかりましが、「事件前より更に融資審査厳しくなってませんか?」なんです。

金融機関に出向いて担当者に収益物件の話をするだけで「顔色が悪くなる」・「下を向く」ばかりです。このままでは売主が売却しようにも売却できない状況が続き、物件価格が下落すると皆が口をそろえていました。

しかしながら、現状はというと「新型コロナ」ウィルスにより低利息無担保の融資が行われて不動産業者の預金高が一気に膨れ上がっているため、「現金を注入できる」企業は買い占めに走っています。

価格が下落するどころか急激に上昇傾向にあります。不動産相場に一喜一憂する人たちも増加し始め加熱傾向にあるといっても過言ではないでしょう。

金融機関の現状

では、一切融資を行っていないかというと、そんなことはありません。先程も記載したとおり「現金を注入できる」場合は金融機関側もリスクが低くなるため融資してくれます。

でも実際には現金注入したくないですよね。多少難しいことかもしれませんが私の場合はこんな感じで探しています。

  • 物件価格の一割程度の現金注入で金融機関に融資の交渉をする
  • 空室の多少目立つ物件で今の利回りは悪いけれど、今後の入居が見込まれる物件(3月で一気に退去してしまった)
  • 積算法により利回り重視ではなく、土地や建物の評価が高い物件

これらの物件に関する情報を資料にまとめて、金融機関へ持ち込んで力説する。場合によっては別に所有している不動産に共同担保を提供することも視野に入れて行動し続けているといった感じです。

金融機関も資金貸付が仕事です。相手の立場をよく理解することで、何を望んでいるのかを逆に提供することで道が開ける場合があると思います。

コロナ渦における現状

毎日のように状況が変化し「緊急事態宣言」が発令されることにより様々な業種に影響が出ており金融機関への融資相談が急増しています。行員の数が増えているわけではないので一人当たりの業務量が多忙を極めています。

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優先順位からも緊急を要する案件から先に手を付けていくため、不動産融資については後回しにしている金融機関も少なくありません。契約する場合は「引渡し期日」や「融資利用に関する特約期日」に十分注意が必要です。

まとめ

このような過渡期を迎えている状況下では慎重な対応が望ましいとされる一方で、周囲に流されてしまう方も大勢いると聞いています。

不動産投資は博打ではありません。こんな時こそ物件を見定める目と、話を聴く耳を磨いて後悔のない投資をしなくてはいけません。

  • アパートローン等の融資について金融機関による引き締め政策は続くものと予想しています
  • 今後もどのような対策や法改正が行われるかわかりませんので情報収集は日ごろから行い、好影響に転じる場合に備えが必要
  • 金融機関の求める条件に沿えるような不動産探しと対応を考えておくこと
  • 契約する場合は「引渡し期日」や「融資利用に関する特約期日」に十分注意が必要なこと

無理なくやって、今日もHappy!

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